松原央
三重県志摩市のリゾートマンションでコンクリートの剝落(はくらく)が相次いでいるのは手抜き工事が原因だとして、マンションの管理組合が2日、施工主で準大手ゼネコンの三井住友建設(東京都)と、分譲した大和ハウス工業(大阪市)を相手取り、修繕費約2億9千万円を求める訴訟を津地裁に起こした。
管理組合側によると、「爆裂」と呼ばれる鉄筋の膨張によるコンクリートの剝落が起きているのは、「ロイヤルヴァンベール志摩大王崎」(志摩市大王町波切)。鉄骨鉄筋コンクリート造り14階建てで全120戸。三井住友建設の前身の住友建設が施工し、1997年に完成した。主に別荘として使われているほか、約20世帯が定住している。
完成の4、5年後から「かぶり(鉄筋を覆うコンクリート)厚さ不足」による剝落が起き、2010年に三井住友建設が施工不良を認めて無償で修繕。だが20年ごろから再び天井などから剝落が始まり、22年4月、同社が修繕を約束して工事のための調査を開始。ところが、同月中旬、建物完成から20年以上が経ち、民法で賠償請求権が消える「除斥期間」が過ぎたため法的責任がない、などとして調査を中止したという。
管理組合側は、これまで一貫して施工不良の責任を追及してきたことや、会社側が責任を認めて調査に着手したとして、除斥期間は適用されないと主張。今後3回の修繕工事が必要だとして、総費用の約2億9千万円を求めている。
2日に津市内であった記者会見で管理組合の松浦潤也理事長(49)は「大企業による不誠実な対応に憤りを感じている。社会的な責任を果たしてほしい」と訴えた。
三井住友建設の担当者は取材に「これまで管理組合と誠実に協議を続けてきたが、訴訟に至り残念だ。引き続き誠意を持って対応したい」と話した。大和ハウス工業は「訴状が届いていないためコメントを差し控える」としている。(松原央)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル